SNS就活の新たなトレンド
近年、就職活動のスタイルが大きく変化しています。従来のエントリーシートや面接に加え、SNSの利用が学生と企業間双方で広がりを見せています。このようなSNSを活用した就職活動は「SNS就活」と呼ばれ学生が自身のSNSアカウントを活用し、就活全般の情報、企業情報の収集、自己PR等を行うことを指します。この新しいトレンドは、企業と学生の交流の場をさらに広げ多様な接点をつくりだしています。
SNS就活における学生の現状
SNS就活を行うのは、デジタルネイティブ世代であるZ世代です。この記事を執筆している私自身、このZ世代に分類されますが、私たちの世代はインターネットが当たり前の環境で育ち、プライベートでは日常的にSNSを利用しています。
株式会社i-plugの行った「就職活動におけるSNSの活用状況に関する調査」によると、25卒の学生の59.6%がSNSを活用した情報収集を行っています。
また、情報収集の方法としてはX(旧Twitter)、次いでInstagram、動画投稿型のTikTokやYouTube等が挙げられています。
しかし、すべての学生がSNSを有効に活用できているわけではありません。プライベートではSNSを上手く活用できる学生であっても、それを就職活動という場にどう応用するかは別のスキルを要します。SNSを使った情報収集の精度には個人差があり、特にネットリテラシーに差が見られることが課題となるのではないでしょうか。様々な情報が氾濫する現代において、信頼性のある情報を選別する能力は、就職活動の結果に大きく影響する要素の一つです。
学生に求められるネットリテラシー
SNS就活において、学生に求められるスキルとして最も重要なのは「ネットリテラシー」です。具体的には、以下のポイントに特に注意を払うことが求められます。
- 情報の信頼性の判断:
インターネット上には多くの情報があふれており、その中には信頼性に欠けるものもあります。「絶対に内定できる」「これをすれば面接を必ず攻略できる」といった、極端な情報に惑わされないよう、企業の公式サイトや信頼性の高い就活サイトで情報を確認するようにしましょう。情報の真偽を見極める能力が重要です。
- 社会人としての自覚を持ったSNS活用を:
自分のSNS上での発言は必ず誰かに見られる可能性がある、ということを十分に理解して活用しましょう。複数のアカウントを持っていたり、実名を公表していないアカウントで発言したりしていた場合でも、個人が特定されることはあります。自分の過去の発言や、ネット上に投稿してある画像、動画などから個人が特定されても問題ないかどうか確認してみましょう。また、特に就職活動に関連した内容をSNS上で発言している場合には、選考内容を漏らすことが絶対にないよう、注意することが必要です。
- OB・OG訪問のマッチングは慎重に:
近年、自分の在籍する大学内など直接のコネクションがなくとも様々な業界のOB・OGとつながることのできるアプリやプラットフォームが普及しています。多くの社会人とつながりを得て話を聞く機会を持てるというのは便利ですが、その反面、特に対面で会う際にはリスクも伴うことを理解しておくことが必要です。一部のサービスでは本人確認のプロセスが整備されていないこともあり、実際にその社会人本人が申請している企業に勤めているか確かではないこともあります。さらに悪質な場合には「社会人」としての立場を利用してセクハラのような事案に発展してしまうこともあり得ます。学生同士だけでは分からない有意義な情報を得られるチャンスをつかむためにOB・OG訪問は有効な手段ですが、このようなサービスを利用する際には利用を慎重に進めるようにしましょう。
まとめ:SNS就活におけるコミュニケーション
SNSが就職活動の一部となりつつある今、私たち学生には学生から社会人になる立場としてより高度なネットリテラシーが求められます。企業もまた、SNSを通じた採用活動の新しい可能性を探ることで、学生とのより良いミュニケーションの形を作っていけるのではと考えます。リスクを理解したうえでSNSを効果的に活用することで、企業と学生の双方にとって有益な就職活動・採用活動にすることができるでしょう。
<「就職活動におけるSNSの活用状況に関する調査」データ引用元>
文責:インターン生Ayana Yoshitake