6~7人に1人の新入社員が辞めている
若者の離職率は?
どの企業においても、優秀な人材に長く働いて欲しいと願うのは当然のこと。ところが実際は、入社後間もない若者の離職率の高さが問題になっているのです。厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」によると、入社して3年以内で6~7人に1人が辞めているという調査結果があります。
業種別の離職率をみてみると?
離職率を業種別にみてみると、次のようになっています。
〇1位 25.6%
宿泊業・飲食サービス業
〇2位 22.3%
生活関連サービス業・娯楽業
〇3位 18.7%
サービス業
〇4位 15.4%
教育・学習支援業
〇5位 13.5%
医療・福祉
企業にとっての3つのデメリット
離職率が高くなると?
企業にとっては次のような問題が生じます。
①新たな人材を探さなければならない
②残された従業員の負担が増える
③企業イメージがダウンする
①新たな人材を探さなければならない
労働人口が減少している昨今。採用と人材育成はどの企業においても相当な労力を要します。コストと時間をかけて採用し、教育をしたにも関わらず簡単に辞めてしまわれては、大きな損失となります。
②残された従業員の負担が増える
退職者が出た場合、空いた穴を埋めるのは残された従業員です。必然的に負担が増し、仕事へのモチベーションが下がります。かといってすぐに後任者を採用することは難しく、長引けば長引くほど不満が募り、さらに離職者が増え、負の連鎖につながってしまうのです。
③離職率が高くなると企業イメージがダウンする
高い離職率は、クライアントや求職者にとって悪い印象を与えかねません。例えばSNSによる情報拡散。アンチコメントや悪い噂を流されてしまうことで、新規採用が難しくなったり、企業イメージがダウンしたりして信用を失うこともあります。
新卒者が会社を辞めた理由上位4つ
新卒者が会社を辞めた理由をみてみると、次のようになっています。
1位 30.3%
労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった
2位 26.9%
人間関係がよくなかった
3位 23.4%
賃金の条件がよくなかった
4位 20.1%
仕事が自分に合わない
厚生労働省「平成30年若年者雇用実態調査の概況」より
離職率を下げる3つの対策とは?
一般的に、離職率が平均で20%を超えると注意が必要だと言われています。新入社員にとっても、1年未満で離職すると6割以上が正社員としての再就職が難しいというデータがあります。双方にとってデメリットしかありません。
離職率を低い数字に抑えるためにはどうしたらいいのでしょうか?結論から申し上げますと、まずは相手を知ることではないでしょうか。企業側と従業員とのギャップを埋めることが大切です。退職理由をふまえて、企業として効果的な対策は次の3点です。
①現状に即した労働条件を提示する
②コミュニケーションがとりやすい職場作り
③研修制度を整えてエンゲージメントを高める
①離職率を下げるには、現状に即した労働条件を提示する
新卒社員が退職してしまう大きな理由は、採用条件や仕事内容において、本人の希望と現状が合わないこと。そもそも労働条件は、採用時に合意のうえ約束されているはずです。ところが入社後に給与や福利厚生に不満を抱いたり、厳しいノルマや残業の多さに精神的・肉体的についていけなかったりして、「話が違う」と不満をもつ若者が多いと言われています。
採用時に現状に即した労働条件を提示すること。説明や話し合いを通して具体的なすり合わせを行い、誤解を避けることが必須です。
②コミュニケーションがとりやすい職場作り
社会経験がない若者にとって、社会に出るということは今までの価値観をガラリと変える必要があります。新しい環境で覚えることがたくさんあり、失敗することや叱られることも出てくるでしょう。自分の努力が正当に評価されていないという理由でモチベーションを失うケースもあります。
ちょっとしたことでストレスを抱える可能性が高いです。一人ひとりが抱える悩みや疑問をサポートできるシステム作りや日頃から本音を話せる仕組み作りは必要不可欠です。
③研修制度を整えてエンゲージメントを高める
自らの生き方をみつめ、目標をもち、働く意欲につなげている…そのような教育が充実している企業では、圧倒的に離職率が低いです。研修を通してエンゲージメントを高め、「この会社で働きたい!」「この会社で自己実現したい!」という意識を育て、モチベーションにつなげているからです。一人ひとりのやる気が高まると、当然社内の雰囲気、人間関係も良くなります。
おわりに
大きく問題になっている離職率ですが、見方を変えると、他社との差別化をはかるチャンスとも捉えることができます。
ミスマッチを防ぐためには、人事担当者と新入社員におけるコミュニケーションが大切です。最大の秘訣は、社員の価値観を大切にすることです。人材が人財となることは、企業にとってメリットしかありません。