外国人雇用者を受け入れるための3つの注意点

日本において今後も増えていく外国人雇用者、彼らをどう受け入れていけばよいのか。
自身の海外経験も踏まえて、言葉の壁だけではないそのポイントを解説します。

 

◆意外と大きい外見の壁

 皆さんは自分が「外国人」という立場にたったことがありますか。様々な場面が想定できるかと思いますが、自分がその国の「外の国の人である」という感覚は、中々歯がゆいものです。近年、日本国内においても外国人の姿が多く見受けられますが、街中で歩いている彼らに目がいくことはありませんか。人口の9割以上が日本人で成り立っているこの国では、「違う」ということに対して国民は非常に敏感です。

 私が海外に住んでいた間、自分は外国人であるという感覚と向き合う機会が多くありました。言葉がネイティブでないうちは、「この人は同国の人ではない」とわかりやすいため皆がそれを踏まえたうえで対応してくれるので、その感覚が逆にありがたいと考えていましたが、言葉を覚えてくるとそれが邪魔してコミュニケーションのボーダーラインにぶつかることがしばしばありました。マイナスの例を出すと、働いていたレストランで国ごとにコミュニティができてしまったのです。「同国人である」というのは無条件で安心感を生みます。意識していなくても自然と安心できる方へいってしまうのが人間です。

 ただこの点で面白いのが、留学先の学校では様々な人種の人がいましたが、総じて同系人種は仲良くなるのが非常に早い傾向にあったことです。要するに、細かい国は問わずアジア人はアジア人、ヨーロッパ人はヨーロッパ人でかたまりやすいということです。国は違えど、似たような文化を持つと共感点が多いので、同国人と似たような感覚になるということです。冒頭に書いた外見の違う人に目がいってしまう現象は、逆を言えば外見が似ている方が安心する、とも言えます。

 

◆違いを受け入れることが相互理解の鍵

 グローバル化が急速に進む現代では、日本の外国人雇用者は年々増加しており、現在では91万人に達しています。通常、外国人とコミュニケーションを取る上で言語が壁だと思いがちですが、実は言語はコミュニケーションのツールのひとつにすぎません。相手を理解したい、という気持ちが大切なのです。実際に私自身、お互いに母国語が理解できなくても、第二外国語が完璧でなくても、留学中に親しい外国人の友人を作れたのは「外国人だから」「文化が違うから」という気持ちではなく、互いに理解しようというモチベーションが一致していたからです。

 だからといってすべてに共感できるということではありません。例えば、海外でジブリ作品を外国人と観に行った際、映画館でのリアクションが大きいのをはじめ、笑う箇所が違ったり、とにかく違うことだらけの2時間を過ごしました。しかし、そこで「ああ共感できないんだ」と諦めてはいけません。なぜそこで笑ったのか尋ねてみると、だってこういう理由で面白いから、と答えてくれました。それは知らなかった見方、すなわち「異なる」を知るとても貴重な機会でした。

 

◆相手を理解するモチベーションの持ち方

 繰り返しになりますが、文化が違うから、言語が違うから、外見が違うから理解できないということはありません。ただし、それは一方的であってはなりません。相互が「理解したい」というモチベーションでなければ成り立ちません。逆を言えば、モチベーションさえ一致していれば、多少の言語コミュニケーションや、文化の違いは問題にならないということです。例えば、一番シンプルなのは相手と「仲良くなりたい」というモチベーションです。ただ頭では分かっていても、実際に外国人と向き合う場面にならないと中々難しいものです。ましてや海外経験のない人からしたら、理解できなかったらどうしよう、とかネガティブな面ばかりに目がいってしまうかもしれません。しかし実際にはポジティブなことが多いと考えます。単純なことでいえば、異なる言語をバックグラウンドに持つわけですから、「英語にした企画書のニュアンスを確認して欲しい」とか、その逆で「英語の契約書を読んで欲しい」というのもまた武器として使うことができます。心の持ち方ひとつで、今までは見えなかった世界に目が向いていくと考えます。

 

◆外国人雇用者を受け入れるための3つの注意点

  1. 言語はあくまでもコミュニケーションツールのひとつにすぎない。
    大切なのは相互に「理解したい」という気持ちを持つこと。
  2. 外国人(異文化)なので、「同じ」や「共感」というのは期待してはいけません。
    「異なる」ことを受け入れること。
  3. 外国人雇用者と日本人雇用者が同じモチベーションをもつためには、
    採用する人(会社側)が率先して両者のすり合わせを行うこと。

 
●参考文献
厚生労働省:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(平成27年10月末現在)
日本の国籍別人口は? 総務省統計局が公開した資料を読み取る

(文責:新井)


 

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